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fox.
■狐の尻尾
 群馬県利根郡東村(と、昭和46年当時ではなっている)の話。

 この村の付近では、夕方まで何事もなかった者が一晩のうちに死んでしまうという事が多かったらしい。その死亡者の多くは小児で、獣にひっかかれたようなキズが顔にできるとともに泣き叫んで死んでしまうという。なかには泣かずに死んでしまう例もあったが、村の者はそれを狐のしわざと言い伝えていた。

 その時分、村には九蔵という猟師がいた。ある日の明け方、彼が狩りに行く途中、高橋金作という者の家のそばを通ったとき。生け垣の間からふと中を見ると、納屋の壁の下に一匹の狐がいて、妙な仕草をしていた。前足を折って頭を地面につけ、大きなその尻尾で納屋の壁を叩いていたのだ。ちなみに朝早い時間だったので同家は寝静まっていた。
 九蔵はその狐をそのままに狩りに行った。そして帰ってくると同家にあわただしく人が出入りしている。何事かといえば、当歳(その年の生まれ、数え年で1歳)になる女の子が件の怪象で、家人の知らぬ間に死んでいたという。
 九蔵は見舞いにいき、家人に明け方の話をした。これでいよいよこの怪象は狐のしわざだということになったそうだ。

 ふむ。しかし変、というか何となく腑に落ちない話。というのも狐が理由もなく殺生しているみたいだから。仕返し話ならよくあるのに。何ぞ原因でもあるのだろうか? あとは実際の背景か。小児が変死していたという事例。何かの病気を狐のしわざとしたのかもしれないし。
 狐が仕掛けをしているところが目撃されてるのというのも面白い話。
 あとこの話は、話中に出てくる高橋金作氏の語ったもののようです。


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