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■scraps #48
 放課後。雨は上がり校庭には無数の水溜りができていた。部活の騒がしさを背中に直人は校門をくぐる。寄るところもない。真っ直ぐと自宅へ。その途中。ちょうど直人の借りているアパートに近い住宅街に入ったところで異変は起きた。
(! なんだ、これ……?)
めまい。額を押さえ、崩れそうになる足元を何とかもたせる。頭の内側に張り付くような、嫌なにおい。こんなことは初めてだ。嘔吐感がこみ上げる。立っていられない。
(くそっ、こいつ。出て行け!)
頭の中で叫ぶ。と、意外にすんなりとにおいはなくなった。それとともに嘔吐感もめまいも消えた。頭を押さえていた手をのけ、目を白黒させる直人。さっきのは何だった? 考えよとする。それをまたにおいがさえぎった。先ほどのようなものではない。人だ。顔を上げる。少し離れたところに同校の制服を着た女子がいた。普段なら気に留めるようなものでもない。が、今回はちがった。微かに、漠然とだがその女子からは妙なにおいがする。目で女子を追う。路地を曲がろうとする背中。その背中が一瞬、黒く崩れて背景に溶けた。目を見張る直人。立て続けに妙な事が起こる。直人は深く息をつき、先の女子と同じ路地を曲がった。


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