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■scraps #33
 中須賀ともう一人――和田といっただろうか――と巡回中、境内の林の中で歪みと遭遇した。このことは命を少なからず驚かせた。新米だから、ではない。
 まったく気配がなかった。
命は歪みを探知する、ある種の特殊なセンスを持っている。だが今回はそのセンスも黙っていた。歪みと対する間もどこか違和感が消えない。その違和感が動いた。目の前の歪みを消し、違和感の影を捉らえる。
 逃げる。逃がすか。
身を翻し違和感を追う。背中に中須賀の声を聞いたが無視。歪みを狩るのが優先だ。

 闇の林の中を疾く駆ける。距離はまったく縮まらない。一定。喧騒と明かりが近づく。歪みは大衆の中では存在できず消える。だが今前行くものは消えないだろう。それは歪みにはありえないことだった。しかし、それがどうしたというのだ。一歩でも速く踏み出す。人込みに紛れられてはまずい。勘は戻っていない。


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