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■scraps #21
「うつぼかずらってのは」
と、銃を抱いて座っている男――ミルドナという――が突拍子もなく口を開いた。
「待ちだ。待ちの戦い方だ。なぜか」
それは質問だったらしい。数瞬後にそれに気付いた、となりで同じような格好で縮んでいる男――マイルズという――は短く返す。
「なぜ?」
「動けないからだ。自ら動くことができないから待ちでいるしかないんだ」
それだけ言う間に銃声が三度。そのうちの一度が彼らの隠れている壁、の残骸にもあびせられた。応射しながらマイルズ。
「何が言いたいんだよ」
すぐに顔を引っ込め、空になったマガジンを引き抜く。
「俺たちは動ける。こんな待ちの戦い方は合ってないってことさ」
空のマガジンを兵隊服のポケットにねじ込み、かわりに満タンの最後の一本を銃に差し込む。
「だから打って出ようって? 自殺行為だ」
「だが出ていかなくても同じ事だろ」
強い目でうったえるミルドナをマイルズは見返した。頭からつま先まで砂ぼこりやすすで汚れきっている。自分もきっと同じようなものだろう。ただ血で汚れた部分がないことが救いか。ため息をひとつ。つぶやく。
「酒が呑みたいな、ひさしぶりに。この近くにバーがあったんじゃないか?」
「ああ、4つ先だ」
壁からちらりと顔を出しミルドナがいう。マイルズは視線を落とし、暫時。
「そこまでいってみるか。酒が残ってるかもしれん」
言って、二人は同時に壁の影から躍り出た。


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