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■豚
 そう、以前から思っていたのだが。
 「豚」というのは何かかわいそうだ。豚自体がというかその扱いが。

 まず漢字からして哀れである。
 「豚」だ。その偏は「肉月」。脂肪とか肝、肺などの体に関する漢字を作る偏だ。しかも、この偏のもともとの形は「肉」ときている。
 豚は肉扱いなのだ。同じ家畜でも牛とか鶏は動物扱いなのに(漢字が)。
 確かに豚はイノシシを家畜化したものである。もともとが肉として作られているのだからしかたないといえばそうかもしれないが。くわえて実験動物として注目されているのだから。
 と、調べてわかったが牛の方もひどい。ヨーロッパなどに分布していた原種はすでに絶滅し、家畜化されたもののみが現存しているのだ。人間の業の深さを感じざるをえない話である。
 そして話は豚に戻る。

 あと哀れなのは「豚」という言葉。悪口に使われるのである。
 なんと大辞林(三省堂)の豚の項の(2)には「ふとっている人をあざけっていう語」と記されている。ついでにマタイ福音書七章より「豚に真珠」という言葉が生まれているのだ。なんかもう踏んだり蹴ったりである。

 当の豚はそこまで見下げたものではないのに。鼻が利くからトリュフだって見つけられるのに。……まぁ、口輪をしてないと見つけたそばから自分で食べちゃうんですがね。
 嗚呼、やっぱダメかも。


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